波打ち際の続き話
友達が、 「最近、夜中にひとりで海辺を歩いてるんだよね」 と言いました。 私は最初、 「危ないからやめたほうがいいんじゃない?」 と言いました。 すると友達は、 「だから今日は二人だよ」 と、なぜか解決した顔をしました。 […]
友達が、 「最近、夜中にひとりで海辺を歩いてるんだよね」 と言いました。 私は最初、 「危ないからやめたほうがいいんじゃない?」 と言いました。 すると友達は、 「だから今日は二人だよ」 と、なぜか解決した顔をしました。 […]
その山は、山というより「日常から半歩だけ浮かぶ場所」でした。 駅を降りて、商店街を抜けて、住宅街を曲がって、ゆるやかな坂を登ると着くような山です。標高なんて覚えていません。たぶん山自身も気にしていなかったと思います。 あ […]
子供のころ、夜の車は小さな宇宙船でした。 後部座席に座って、窓に額をつけながら流れていく街の明かりを見ていると、自分だけが少し遠い世界へ運ばれている気がしました。助手席では母が何か話していて、運転席では父がハンドルを握っ […]
子供のころ、「正解」はいつも少し遠くにありました。 ちゃんと笑えばいいのか、 静かにしていればいいのか、 手伝えばいいのか、 消えていたほうがいいのか。 毎日それを考えていました。 天気予報みたいに。 今日は近づいて大丈 […]
子供のころ、部屋には「夜をやり過ごす係」がいました。 ベッドの端に座っている、耳の少し曲がったクマのぬいぐるみです。名前はたしか三回くらい変わりました。でも、どの名前の時も、そのクマは、ちゃんとこちらの味方でした。 家の […]
雨の日のコインランドリーは、「今日を少しだけやり直せる場所」です。 商店街の端っこ、薄い青色の看板の下で、洗濯機たちは今日もぐるぐる世界を回していました。外はしっかり雨です。空が大きな洗濯機になって、街ごとすすいでいるみ […]
正午の川辺は、世界がいちばん「ちゃんと生きている音」を出す時間です。空には雲がほとんどなくて、太陽が遠慮なしに光っていました。まぶしさで景色の輪郭が少し溶けていて、橋の下の影だけが静かに涼しい顔をしていました。 土手の草 […]
夕方の河川敷には、名前のない風が吹いていました。 それは涼しいというより、世界が少しだけ遠慮しているような風でした。昼の熱はもう帰り支度を始めていて、空の端では、誰かが薄い青にオレンジを一滴だけこぼしていました。 私はそ […]
夜のゲームセンターは、少しだけ未来が古くなった場所です。駅前のネオンはまだ明るいのに、ビルの三階にあるそのゲーセンだけ、時間から半歩ずれていました。壁には、昔の人が想像した「近未来」みたいな青い光が残っていて、少し色あせ […]
夜の砂浜には、「考えすぎた人専用の静けさ」が落ちています。駅から海まで歩く途中、自動販売機の明かりがぽつんぽつんと浮かんでいて、まるで夜が自分で自分を励ましているみたいでした。コンビニで買ったラムネは「本日の感情をゆるや […]