散文詩

  • 昼間の川と金色のひれ

    昼間の川と金色のひれ

    正午の川辺は、世界がいちばん「ちゃんと生きている音」を出す時間です。空には雲がほとんどなくて、太陽が遠慮なしに光っていました。まぶしさで景色の輪郭が少し溶けていて、橋の下の影だけが静かに涼しい顔をしていました。 土手の草 […]

  • 余った時間の河川敷

    余った時間の河川敷

    夕方の河川敷には、名前のない風が吹いていました。 それは涼しいというより、世界が少しだけ遠慮しているような風でした。昼の熱はもう帰り支度を始めていて、空の端では、誰かが薄い青にオレンジを一滴だけこぼしていました。 私はそ […]

  • やさしい敗北のゲームセンター

    やさしい敗北のゲームセンター

    夜のゲームセンターは、少しだけ未来が古くなった場所です。駅前のネオンはまだ明るいのに、ビルの三階にあるそのゲーセンだけ、時間から半歩ずれていました。壁には、昔の人が想像した「近未来」みたいな青い光が残っていて、少し色あせ […]

  • 持ち帰り自由の星くず

    持ち帰り自由の星くず

    夜の砂浜には、「考えすぎた人専用の静けさ」が落ちています。駅から海まで歩く途中、自動販売機の明かりがぽつんぽつんと浮かんでいて、まるで夜が自分で自分を励ましているみたいでした。コンビニで買ったラムネは「本日の感情をゆるや […]

  • 放課後のBGM

    放課後のBGM

    放課後の図書館は、夕焼けを静かに発酵させる場所です。ドアを開けた瞬間、本の匂いに混ざって「今日はちょっといい日でしたね」がふわっと漂ってきました。司書さんはいつも通り穏やかに微笑んでいたけれど、よく見るとしおりをトランプ […]

  • おつかれさまの街

    おつかれさまの街

    深夜のコンビニに入った瞬間、入口の自動ドアが「おかえりなさい、本日の冒険者さま」と小さくささやきました。気のせいかと思ったけれど、床のタイルがきらっと光っていたので、たぶん歓迎されていたんだと思います。冷蔵コーナーではプ […]

  • ほんのり期待予報

    ほんのり期待予報

    朝起きたら、枕の下から「やる気の種」が2粒こぼれ落ちていました。どうやら寝ている間に夢の配達員が落としていったようです。種には「植えたらいいことがあるかもしれません(個人差あり)」と小さな文字で書かれていました。よく見る […]